日本列島を北上する桜前線。気象庁によると、2023年の長崎県では平年より2日早い【3月21日】に桜の開花が観測されました。また、ウェザーマップによると、2023年の長崎県の桜は【3月29日】が満開とのこと。
桜が満開を迎えてからの見頃はおよそ1週間ほど。桜の季節はあっという間です。少し慌ただしいかもしれませんが、いつもとは違う場所に足を運んでみるのも楽しいですよね。
長崎県には素晴らしい桜名所が数多くあります。この記事では、そのごく一部ですが、8カ所を厳選してご紹介します。
長崎の桜名所① 大村公園(大村市)
大村公園の満開の桜
長崎県の中央部に広がる大村湾。その東南の海岸にある大村公園は、玖島城(くしまじょう)の跡に整備された歴史公園です。桜と花菖蒲の名所として知られています。
玖島城が築かれたのは戦国時代の終わりごろ。大村藩の初代藩主・大村喜前(おおむら よしあき)によって築かれました。そして12代藩主・大村純熈(おおむら すみひろ)の時代まで、270年あまりにわたり、玖島城は大村藩の政治の中心でした。
大村公園は日本さくらの会が選定する「日本さくら名所100選」に選ばれています
桜の季節には、ソメイヨシノや国指定天然記念物の「オオムラザクラ」など、約2000本の桜が開花。開花時期が遅い桜もあるので、比較的長い期間桜を楽しめます。
ちなみに桜が散ったあとの5月下旬〜6月上旬にかけては、花菖蒲が見頃に。大村公園ではおよそ30万本の花菖蒲が見られます。
大村公園 お花見情報
●住所:長崎県大村市玖島1-43
●例年の見頃:3月下旬〜4月中旬頃
●公式サイト:大村公園(大村市)
※編集部しらべ
長崎の桜名所② 橘神社・橘公園(雲仙市)
橘神社参道に架かる軍神橋と桜
橘(たちばな)神社は、長崎県出身の陸軍軍人・橘周太(たちばな しゅうた)中佐を祀った神社です。橘中佐は、東宮武官や名古屋陸軍地方幼年学校長を歴任した人物で、日露戦争における激戦・遼陽会戦(遼陽の戦い)で壮烈な戦死を遂げています。
橘神社の参道や橘公園の周囲は、春になると約1000本の桜に覆われます。参道の両脇にあふれんばかりに咲く桜は、まるでトンネルのよう。近くを流れる川の風景とともに楽しめます。
花びらが散ったあとの花筏も見事です
ちなみに橘神社は2000年にギネス記録に認定された、巨大な門松でも有名。年末年始には高さ10mを超える門松が飾られ、ひと目見ようと多くの参拝者が訪れます。
橘神社・橘公園 お花見情報
●住所:長崎県雲仙市千々石町己529
●例年の見頃:-
●公式サイト:橘神社
※編集部しらべ
長崎の桜名所③ 西海橋公園(佐世保市・西海市)
西海橋と満開の桜
複雑な形の半島や、大小さまざまな島が集まる長崎県には「瀬戸(せと)」と呼ばれる小さな海峡が存在します。西海橋公園は、大村湾と佐世保湾を繋ぐ「針尾瀬戸(はりおせと)」の周囲に整備された公園。針尾瀬戸をまたぐ「西海橋」と「新西海橋」、ふたつの橋がシンボルです。
「新西海橋」のたもとの「河津桜の丘」では、ソメイヨシノよりも早い時期に桜が楽しめます。新西海橋のシルエットと、濃いピンクの花のコントラストが見事です。「西海橋」の周辺では約1000本のソメイヨシノが花をつけ、西海橋とセットと桜を楽しめます。
また、桜が見頃となる春は、潮の満ち引き差が大きくなる時期。干満の差が急潮流を生み、桜とうず潮の共演に遭遇できるかも。
新西海橋と河津桜
西海橋公園 お花見情報
●住所:長崎県佐世保市針尾東町/西海市西彼町
●例年の見頃:3月下旬~4月上旬頃(ソメイヨシノ)
●公式サイト:長崎県立西海橋公園
※編集部しらべ
長崎の桜名所④ 風頭公園(長崎市)
一面の桜をバックに立つ坂本龍馬像
風頭公園(かざがしらこうえん)は、長崎市の中心街からほど近い丘の上にある公園。シンボルは坂本龍馬像です。展望台からの眺望は素晴らしく、夜景が美しい公園として知られています。
園内には約350本の桜の樹があり、3月下旬から4月上旬にかけて見頃を迎えます。例年、桜の開花時期に合わせて「風頭公園桜まつり」が開催されます。2023年も3月25日(土)〜4月2日(日)に開催。
夜はぼんぼりに明かりが灯り、桜の花を照らします。美しい夜景と、幻想的な夜桜が楽しめるスポットです。
風頭公園から望む夕暮れの長崎市街
風頭公園 お花見情報
●住所:長崎県長崎市伊良林3-510-6ほか
●例年の見頃:3月下旬〜4月上旬
●公式サイト:風頭公園(長崎市)
※編集部しらべ
長崎の桜名所⑤ 西山ダム下流公園(長崎市)
桜咲く西山ダム下流公園 (写真提供:[一社]長崎県観光連盟)
長崎市の中心部から少し外れた場所にある西山ダム。下流域は公園として整備されていて、穴場的な桜名所として地元の人に親しまれています。
アーチ型の美しい石橋「旧高麗橋」や迫力あるダムを背景に桜が楽しめます。
また西山ダムの堰堤部は遊歩道となっていて、上からの景色を楽しむこともできます。
西山ダム下流公園 お花見情報
●住所:長崎県長崎市西山4丁目
●例年の見頃:3月下旬〜4月上旬頃
●公式サイト:-
※編集部しらべ
長崎の桜名所⑥ 四本堂公園(西海市)
四本堂公園に咲く桜。青い空に桜が映えます
大村湾の北側、三方を海に囲まれた丘にある四本堂公園(しほんどうこうえん)は、キャンプやバーベキューなど、アウトドアレジャーが楽しめる公園。特徴的な石造りの展望台からは大村湾の絶景が望めます。
春になると約500本の花が咲き乱れます。高台から望む青い海と、薄紅色の桜、青々とした芝生の組み合わせが美しい公園です。
キャンプサイト方面から見た桜
桜の開花時期に合わせたお花見キャンプはもちろん、散歩を楽しんだり、バーベキューをしたりと楽しみ方はいろいろ。公園管理事務所ではバーベキュー台のレンタルも行っています。詳しくは公式サイトをご確認ください。
四本堂公園 お花見情報
●住所:長崎県西海市西彼町白崎郷637
●例年の見頃:3月下旬〜4月上旬頃
●公式サイト:西海市立 四本堂公園
※編集部しらべ
長崎の桜名所⑦ 大山公園といろは島(松浦市)
大山公園からの眺望。手前に一面の桜、奥にいろは島の絶景が広がります
長崎県の北東部に位置する松浦市。鷹島、福島、青島など、大小さまざまな島を有する市で、アジの漁獲量日本一を誇ります。
桜の名所・大山公園は、そんな松浦市の福島にあり、ソメイヨシノや山桜など約900本の桜が植えられています。例年3月にはライトアップも実施しています。
大山公園の魅力は、いろは島を見渡す抜群の眺望。いろは島とは、福島と佐賀県の間にある伊万里湾(いまりわん)に浮かぶ無人島の総称です。
穏やかな伊万里湾にぽこぽこと浮かぶいろは島と、ふわりと咲く桜が作る景色は、一度は見てみたい絶景です。
大山公園といろは島 お花見情報
●住所:長崎県松浦市福島町端免1517-1
●例年の見頃:3月下旬〜4月上旬頃
●公式サイト:大山公園(大山展望所)(松浦市)
※編集部しらべ
長崎の桜名所⑧ 半城湾の山桜(壱岐市)
玄界灘に浮かぶ壱岐島(いきのしま)は、エメラルドグリーンの海が美しい離島です。島のいたるところに神社があり、その数は150以上。島全体がパワースポットとも言われています。
長崎空港からは飛行機で約30分、博多港からは高速船で1時間強と、意外にも好アクセスな島です。
入り組んだ海岸線を持つ壱岐島には、いくつも湾があります。島の西側・郷ノ浦町の半城湾(はんせいわん)は山桜が美しい場所。自生している山桜なので、山肌一面を覆い尽くすように咲く、というわけではなく、山々の木々の合間に、少し控えめに桜が咲きます。
さまざまな種類の木々の、それぞれ微妙に異なる緑の中に、山桜の白や薄紅色が散りばめられ、趣深い風景を作り出します。
山桜の開花時期には例年、1日4便で海上クルージングが運航していますが(予約制)、2023年は休止。2024年に期待です。
半城湾の山桜 お花見情報
●住所:長崎県壱岐市郷ノ浦町
●例年の見頃:3月下旬〜4月上旬頃
●公式・参考サイト:
壱岐海桜<乙女の桜>遊覧
海上山桜遊覧(壱岐観光ナビ)
※編集部しらべ
まとめ
九州の中でもとりわけユニークな地形を持つ長崎は、海と山と桜の景色を一度に楽しめるスポットが多くあります。
自然豊かな場所が多いだけに、ゴミを持ち帰る、など環境への配慮はお忘れなく。
4月上旬頃まで続く長崎の桜シーズン。めいいっぱい楽しみたいですね。
Text・Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA