彦根城の見どころ紹介
[見どころ①]国宝の天守
[見どころ②]重要文化財の櫓・馬屋
[見どころ③]石垣
[見どころ④]表御殿と能舞台
[見どころ⑤]槻御殿と玄宮園
[見どころ⑥]ひこにゃん出現
[見どころ⑦]御城印
彦根城の歴史
築城-徳川家康が命じた
井伊家が務めた歴代城主-ただしその流れは複雑
戦火を免れた彦根城
彦根城の基本情報・アクセス・駐車場
彦根城周辺で行われるイベント情報
彦根城の周辺スポット
まとめ

滋賀県・彦根での観光といえば、彦根城が外せません。歴史にあまり興味がない方でも、その姿の美しさに魅了されることでしょう。春は桜、秋は紅葉の名所として知られ、多くの人で賑わいます。彦根城とはどのような城なのか、城下町など周辺の観光スポットとともにご紹介します。


協力:彦根城運営管理センター彦根観光協会彦根城博物館

滋賀県 < 大津

玄宮園から望む彦根城天守

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神社・寺

彦根城の見どころ紹介

彦根城は1622年に完成し、天守が国宝に指定されています。そのほか重要文化財に指定されている建造物もあり、観光客から城マニアまで幅広く楽しめる、見どころの多いお城です。平和な時代に存続し続けた彦根城を世界に知ってもらうため、世界遺産への登録を目指しています。彦根城でぜひ見ておきたい注目スポットを、ひとつずつ紹介していきましょう。

[見どころ①]国宝の天守

彦根城の見どころと言えば、やはり国宝の天守です。シンプルな白漆喰壁は、天気の良い日は青空に映え、美しさが際立ちます。天守のさまざまな装飾の中でも、破風(※)は存在感があります。彦根城天守の破風には、次のようなものがあります。

●切妻破風(きりづまはふ)
●唐破風(からはふ)
●入母屋破風(いりもやはふ)

唐破風は曲線が特徴的な格式高い様式です。

※破風(はふ):屋根の三角に見える部分のこと

彦根城天守に見られる破風

彦根城天守に見られる破風

彦根城は入母屋造りの大屋根に二重の望楼(物見やぐらのこと)が乗った造りになっています。望楼の1層目と2層目にある特徴的な窓は「花頭窓(かとうまど)」と呼ばれています。花頭窓は鎖国時代に中国に伝わり、おもに禅宗寺院で使われていた様式が、城郭でも使われるようになったものです。

彦根城天守の花頭窓

彦根城天守の花頭窓

彦根城の天守は見た目にはスタイリッシュですが、中は実践的な造りになっているのもポイントといえます。矢や鉄砲で攻撃をする際の小窓など、戦いのための仕様が多く見られます。実践的でありながら、美観も大切にしているのが人々を魅了する理由です。

[見どころ②]重要文化財の櫓、馬屋

彦根城には「天秤櫓(てんびんやぐら)」「太鼓門櫓(たいこもんやぐら)」「西の丸三重櫓」「二の丸佐和口多聞櫓(にのまるさわぐちたもんやぐら)」と4つの櫓が残っています。それら4つの櫓と馬屋は、全て重要文化財に指定されています。

天秤櫓は大手門と表門から続く坂道を登ったところにある、拠点ともいえる重要な櫓です。実は、彦根城の櫓として造られたのではなく、同じ滋賀県の長浜城にあったものを移築したともいわれています。

櫓と馬屋について、詳しく紹介していきましょう。

天秤櫓

彦根城の天秤櫓

均整のとれた彦根城の天秤櫓
天秤のような形状が特徴で左右対称の櫓ともいわれていますが、よく見ると左右の櫓の向きは異なります。

西の丸三重櫓

彦根城西側の、守りの要とされている櫓です。この櫓から琵琶湖を行き交う舟を見張っていたといわれています。

太鼓門櫓(たいこもんやぐら)

彦根城の太鼓門櫓

太鼓門櫓は天守の前にある最後の門
本丸の表口をかためるための櫓で、城内に合図を送るための太鼓が置かれていました。太鼓の音を遠くまで響かせるため、櫓の後ろ側は開放されていたようです。

二の丸佐和口多聞櫓(にのまるさわぐちたもんやぐら)

二の丸には4つの城門があり、表門へと続いているのが佐和口多聞櫓です。1767年に火災で焼失しましたが、その後再建されています。

馬屋

彦根城の馬屋

馬屋は中を見学できるようになっています
彦根城の馬屋では、藩主の馬が管理されていました。現在でも21頭を収容できる施設が残されていますが、城跡でこのような規模の馬屋が残っているのは彦根城だけ。とても貴重な建物で、重要文化財に指定されています。

[見どころ③]石垣

大手御門跡付近にある登り石垣

大手御門跡付近にある登り石垣
お城好きな人が注目するものといえば、石垣です。彦根城では石垣に特化した見学ツアーが開かれたこともあるほどで、彦根城の石垣に見どころが多いことが分かります。

城を攻められた際に、敵が横に移動できないよう、阻止する目的で造られたともいわれているのが「登り石垣」です。彦根城では5カ所に登り石垣があるので、訪れた際にはぜひ探してみてください。

[見どころ④]表御殿と能舞台

彦根城・表御門の内部

表御門の内部
表御殿には、「表向き」と呼ばれる公式な場所と、「奥向き」と呼ばれる藩主の生活スペースがあります。「表向き」は御書院や御広間など6棟で構成されていて、「奥向き」の2倍ほどの広さがあります。江戸後期になると庭園が造られ、その後1800年に能舞台が造られました。

明治時代に入り表御殿は、別の場所に移された能舞台など一部を除き取り壊されましたが、彦根城博物館で復元されたものを見学できます。また、江戸時代に造られた能舞台も元の位置に戻されています。

[見どころ⑤]槻御殿と玄宮園

玄宮園庭園。七間橋と臨池閣

玄宮園庭園。七間橋と臨池閣

彦根城内に残る玄宮園は池泉回遊式の大名庭園です。近江八景(※)を表した造りになっていて、琵琶湖を模した池や竹生島(ちくぶじま)も再現されている、ともいわれています。池に映る彦根城の天守は、幻想的で美しく、ほかでは見られない光景です。
隣接する槻御殿とともに、国指定名勝 玄宮楽々園として知られています。


※近江八景:中国湖南省にある洞庭湖(どうていこ)の八景にちなみ、室町時代公家が選んだと伝えられています。安藤広重(=歌川広重)の浮世絵で広く知られるようになりました。(参考:滋賀県庁 琵琶湖八景・近江八景

[見どころ⑥]ひこにゃん出現

彦根城と言えば、やはり「ひこにゃん」がお目当てという方も少なくないでしょう。ひこにゃんは、毎日彦根城に出現しています。登場時間や場所は、時期や日によって変更になることもあるので、訪れる前に公式サイトでチェックしておきましょう。

●ひこにゃんに会える時間・場所:ひこにゃん登場スケジュール

[見どころ⑦]御城印

彦根城の御城印は、開国記念館で販売されています(1枚300円)。赤地に黒で井伊家の家紋「彦根橘」、金色で旗印「井桁」と当主の通字「直」が押印されています。
開国記念館には、ひこにゃんの御城印もあります。また、鐘の丸売店には御城札があり、こちらもデザインは彦根城とひこにゃんの2種類です。

彦根城の歴史

築城から400年を超える歴史がある彦根城。築城から現在までの歴史をご紹介します。

築城-徳川家康が命じた

彦根城は1604年に築城が始められました。途中、大坂冬の陣による中断を挟んで、およそ20年の歳月をかけて完成しました。

築城場所は、彦根の初代藩主・井伊直政(いい なおまさ)の没後、跡継ぎの直継(なおつぐ)がまだ幼かったため、家老の木俣守勝(きまた もりかつ)が徳川家康に相談し、3つの候補地から家康が彦根山を選んだといわれています。

工事の初期は、徳川家が近隣7カ国の大名に命じて築城が進められ、大坂の陣後は井伊家が単独で城を完成させました。

井伊家が務めた歴代城主-ただしその流れは複雑

井伊家の家紋は「橘」

井伊家の家紋は「彦根橘」
彦根城の歴代城主数については、一度隠居してから再度城主となった人物が井伊家には数名いることから、同一人物を二度数えるか一名とするか、といった考え方によって異なります。

初代の城主は、1607年の天守完成の時に井伊家当主だった井伊直継とする説もあれば、のちに直継は藩主の履歴を抹消されていることから、弟の直孝(なおたか)を初代城主とする説もあるようです。そのあとの城主も、井伊家の家督相続の経緯が複雑なため、正確な歴代城主は不明とされています。

彦根城最後の城主は井伊直憲(いい なおのり)で、彦根藩最後の藩主でもあります。

戦火を免れた彦根城

彦根城は保存状態が良いことでも定評があり、およそ400年前に築城されたその当時と、ほぼ同じ状態で保存されています。

実は、終戦日である1945年(昭和20年)8月15日、連合国軍は彦根を襲撃する予定だったそうです。当日の午後に日本がポツダム宣言を受け入れて降伏したため、彦根は襲撃を免れ、彦根城も被害を受けずに済みました。

もしあと1日、数時間でも終戦が遅ければ、400年前当時の姿は残っていなかったかもしれません。

彦根城の基本情報・アクセス・駐車場

●住所  :滋賀県彦根市金亀町1-1
●開館時間:8:30~17:00(最終入場16:30)
●休館  :無休
●入場料 :個人大人800円(彦根城・玄宮園の観覧含む)
●アクセス:JR琵琶湖線・近江鉄道彦根多賀大社線「彦根」駅から徒歩15分
●駐車場 :二の丸駐車場(40台)/桜場駐車場(70台)/大手前駐車場(25台)
      ※駐車場の詳細は観光駐車場のご案内をご参照ください
●公式サイト:国宝 彦根城

※2023年2月時点の情報です。

彦根城周辺で行われるイベント情報

彦根城桜まつり(3月下旬〜4月上旬)

満開の桜とお堀をゆく屋形船(写真:[公社]びわこビジターズビューロー)
3月下旬から4月上旬にかけて開催され、期間中は多くの人で賑わいます。夜にはライトアップされるので、夜桜を楽しむのもいいでしょう。堀では屋形船が運航され、風情ある花見が楽しめます。岸の桜と水面の桜、その合間で揺れる屋形船が作る風景は、写真にもよく映えます。

関連サイト:彦根城桜まつり(彦根観光ガイド)

彦根ゆかたまつり(8月)

ゆかたまつりではライブや縁日などさまざな催しがあります(写真:[公社]びわこビジターズビューロー)
例年8月に、夢京町キャッスルロードで2日間開催される祭りです。彦根ゆかた祭りの開催中は歩行者天国になり、ゆかた姿の人たちが大勢行き交います。ぜひゆかたや甚平を着て、小粋な町歩きを楽しんでみては。

公式サイト:彦根ゆかたまつり

サマーナイトフェスティバル(7月)

彦根市の中央・銀座・登り町グリーン通り商店街で開催される夏のイベント。それぞれの商店街ごとに屋台村やビンゴ大会などが行われるので、すべての商店街をまわるのがおすすめです。

公式サイト:彦根商店街連盟/サマーナイトフェスティバル開催!(2022)

観月の夕べ(9月下旬〜10月上旬)

観月の夕べでライトアップされた彦根城と玄宮園

ライトアップされた彦根城と玄宮園。過去の「観月の夕べ」では琴や雅楽の演奏や、地元高校の吹奏楽部等による「お月見コンサート」が開催されました(写真提供:彦根観光協会)
9月から10月にかけて約10日間、井伊家の庭園「玄宮園」が夜間特別公開されます。ライトアップされ、池の水面に映る国宝の彦根城天守と名月は美しく幻想的です。池泉回遊式の豪奢な江戸の大名庭園を、たっぷりと満喫してください。

関連サイト:観月の夕べ(彦根観光ガイド)

ひこねの城まつり(11月上旬)

こねの城まつりパレードで町を練り歩く行列

ひこねの城まつりパレードで町を練り歩く行列(写真提供:彦根観光協会)
彦根市最大規模の祭りで、毎年11月3日に彦根城一帯でパレードが行われます。大名行列や彦根町火消し列、子どもたちによる行列も見どころのひとつです。歴史絵巻から飛び出してきたような豪華な行列なので、一見の価値があります。

関連サイト:ひこねの城まつりパレード(彦根観光ガイド)

玄宮園ライトアップ(11月中旬〜11月下旬)

玄宮園ライトアップ。風のないときに見ることができる水鏡

風のないときに見ることができる水鏡は圧巻(写真提供:彦根観光協会)
紅葉の名所としても知られる玄宮園では、紅葉の季節にはライトアップされ夜間も公開されます。昼間の紅葉とはまた違った魅力があり、池の水面に映る紅葉は圧巻です。

関連サイト:錦秋の玄宮園ライトアップ 2020(彦根観光ガイド)

彦根城の周辺スポット

彦根城の周辺には、さまざまな観光スポットがあります。歴史を感じられる博物館や屋敷群のほか、昔の街並みをイメージして造られた通りがあり、デートや女子旅にもおすすめです。

彦根城博物館

彦根城博物館

復元された木造棟や江戸時代の能舞台は彦根城博物館の内部にあります(写真:[公社]びわこビジターズビューロー)
彦根城表御殿の復元を兼ねて建てられた博物館。代々彦根藩主をつとめた井伊家に伝来した甲冑や刀剣をはじめ、美術工芸品や古文書などを収蔵・展示しています。博物館中央には江戸時代の御殿で唯一現存する能舞台があり、藩主の住まいを復元した木造棟では居室や茶室、庭園も再現され、近世大名文化を体感できます。

●住所:滋賀県彦根市金亀町1-1
●公式サイト:彦根城博物館

足軽屋敷群

彦根城の守りを固める目的で、城下町の外側につくられた足軽たちの住居です。こぢんまりとした造りの屋敷で、現在は11棟が残っています。明治以降は、庶民の住居として使われるようになりました。現在も生活をされている方がいるため、足軽屋敷内の見学はできませんが、土日祝のみ「辻番所」内の見学が可能です。

●住所:滋賀県彦根市芹橋2丁目
●関連サイト:旧彦根藩足軽組屋敷バーチャル資料館

河原町・芹町地区

河原町・芹町地区の町並み

河原町・芹町地区の町並み
文化庁指定の重要伝統的建造物群保存地区のひとつで、現在も住居として使われています。観光客が少なく、穴場の観光スポットといえるでしょう。

●住所:滋賀県彦根市河原1丁目/河原2丁目/河原3丁目/芹町
●関連サイト:国選定文化財 重要伝統的建造物群保存地区(彦根市河原町・芹町地区)

夢京橋キャッスルロード

食べ歩きやショッピングが楽しい夢京橋キャッスルロード

食べ歩きやショッピングが楽しい夢京橋キャッスルロード
城下町をイメージした、白壁と黒格子の町屋のような店が建ち並んでいます。滋賀名物や名産品を扱うお土産屋さんも多く、彦根市の観光に欠かせないスポットのひとつ。飲食店も多いので、ランチタイムにもおすすめです。

●住所:滋賀県彦根市本町
●関連サイト:夢京橋キャッスルロード

四番町スクエア

雑貨店や惣菜店や食事処、カフェなどがそろう四番町スクエア

雑貨店や惣菜店や食事処、カフェなどがそろう四番町スクエア
彦根の台所と言われる商店街で、大正ロマンの雰囲気に溢れた一角。建物はモダンな外観で統一され、広場にはガス燈が設置されています。おしゃれな街並みは観光スポットとしてだけではなく、デートスポットとしても人気です。

●住所:滋賀県彦根市本町1-7-34
●公式サイト:四番町スクエア

まとめ

彦根城は見どころが多く、お城にあまり興味が無い方も、景観の美しさを楽しめるのが魅力です。また彦根城周辺には、さまざまな観光スポットがあるので、時間が足りないくらい彦根の街を満喫できるでしょう。
彦根市を訪れた際には、彦根城や彦根の城下町で、観光や食べ歩きなどをたっぷりと楽しんでみてください。


Text:kamegon Edit:Erika Nagumo
Photo:(特記ないもの)PIXTA
参考文献:『ビジュアル事典 日本の城』(三浦正幸監修/岩崎書店)、『これだけは知っておきたい 教科書に出てくる日本の城 西日本編』(これだけは知っておきたい 教科書に出てくる日本の城編集委員会/汐文社)、『城105!2巻』(日本城郭協会監修/フレーベル館)、各種パンフレット